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映画監督の高林陽一氏が、昨夏に亡くなられたと知ったのは、不覚にも昨年末のことだった。

ショックだった。一番好きな映画監督だったから。自主制作の映像作家出身で、海外の映画賞を獲得するなど活躍していた。「すばらしき蒸気機関車」でメジャーデビューして、成功は収めたものの「本陣殺人事件」「金閣寺」「西陣心中」など活動拠点をA・T・Gに移していく。A・T・Gとはアート・シアター・ギルトの略で興行性よりも、より文学性の高い作品を探求した映画制作会社である。高林の映像は、なによりも、耽美的であった。「西陣心中」は全国ロードショーだったが、上映開始から1週間で打ち切られた。それほどまでに、客が入らなかった。しかし、ぼくの中では、映画の評価としては、今も、燦然と輝く日本映画ベストワン作品である。ぼくは、あらゆる映画に於いて、これほどの映像美を観たことがない。公開から30数年経っても、うっとりするほど、色褪せない耽美的な映像美である。