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ぼくの作品に「ブリキの怪獣」という詩がある。

ある文学賞で、最高賞を受賞した。

遠いあの日のことが、モデルになっている。

ぼくは、小学校の一年だった。は、梅田の場外馬券売り場によく足を運んでいて、ぼくもそのたびに、連れて行かれた。

競馬のレースに勝てば、換金してくれるところである。

レースに勝った時、父は羽振りが良かった。

阪神百貨店の屋上の遊園地で、遊び、大食堂で、ご馳走を食べた。そして、おもちゃをひとつ買って貰うのがひとつの慣例になっていた。

おもちゃ売り場で、リモコンで動くブリキのゴジラを見つけた。バラゴンもあったけれど、ゴジラがよかった。手足を動かしながら、のしのし歩き、口を開閉させ、雄たけびを上げながら、煙を吐いた。これ買って?と父にねだったけれど父の表情は険しかった。値札には2000円とあった。その頃の2000円と言えば、かなりの高額である。15円で銭湯に行けた時代である。アイスキャンデーが1本10円の時代である。

父は、ぼくに「これだけは堪忍してや」と言ったけれども、こどものぼくは、火がついたように泣き、その売り場に座り込んだ。30分くらいは、ごね続けただろうか。当時の逼迫した家計の事情など、知る由もない。しかし、父は、根負けして、ブリキのゴジラを買ってくれた。父にとっては、かなりの打撃であったはずである。父が亡くなって27年経つが、一度として、この想い出を忘れたことはない。感謝の意とともに・・・。

メーカーはブルマアクで、一時、コレクターの間では30万円以上で取引されていた。

ぼくのブリキのゴジラはどうなったか?

ほぼ、原型をとどめて、押入れの奥で、深い、深い眠りについている。