彼女の息子は、世界で一番多くの写真が残されている。
無論、歴史上の超有名人だ。
息子の学校での成績は悪かった。
特に、数学ができなかった。
「協調性なし」と通知表には書かれた。
しかし、彼女は、誰よりも深くそんな息子を愛し、護った。
母親ならそうする。
青年期になって、画家を目指したが、挫折した。
息子は時代の流れに、翻弄されてゆく。
いつしか、一国の救世主となってゆく。
けれど、一転して、希代の大悪党と呼ばれるようになる。
それでも、彼女は世界を敵に回しても、息子を護ったことだろう。
母親なら、きっと、そうする。
彼女の名はクララ・ヒトラー。
アドルフ・ヒトラーがエヴァ・ブラウン以上に愛した実の母親である。