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高校時代、本屋でこの表紙絵に惹かれて、ぼくは夢野久作の「瓶詰の地獄」を買ったのだと思う。角川文庫の夢野久作シリーズは、他の作家、作品の装丁がコロコロ変わって行く中、37年経った今でも、表紙絵は米倉斎加年(よねくら・まさかね)のものを使っている。米倉斎加年は名優であり、それ以上に、世界的に有名な絵師イラストレーターとは敢えて名乗っていない)である。

夢野久作の「瓶詰の地獄」は昭和3年に発表された超短編である。

海難事故に遭い、無人の南国の離れ小島に流れ着いた幼い兄妹

極楽鳥が舞い、椰子やパイナップルが生繁る楽園のような孤島で兄妹が体験する地獄とは?  夢野久作得意の書簡形式の小説である。

瓶の中に、現状や美しく成長してゆく妹のアヤコへの想いを手紙に書いて、海に流す。

誰かの、手の届くことを信じて。

しかし、瓶の手紙が誰の手にも届くことなく、10年以上の歳月が流れる。

3本目の瓶の手紙で、この物語は終わるのだが、あまりにも、印象的なので引用しておきたい。

第3の瓶の内容。オ父サマ。オ母サマ。ボクタチ、兄ダイハ、ナカヨク、タッシャニコノシマニクラシテイマス。ハヤク、タスケニキテクダサイ」。