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「十年前、留美子は見知らぬ少年から手紙を渡される。『十年後、地図の場所でお待ちしています。その時、あなたに結婚を申し込むつもりです』。いったいなぜこんな身勝手なことを?東京、軽井沢、総社、北海道・・・・・・・。さまざまな出会いと別れ、運命の転変の中で、はたして約束は果たされるのか?」

2006年、ある日の本屋さんで文庫本の裏表紙のあらすじに惹かれて、上下巻をまとめて買った。宮本輝の「約束の冬」である。

しかし、読もうと思っていた矢先、郵便局の人事異動があった。新しいことを一から覚えなければならず、人間関係も最悪になって、うつ病を発症した。半年、会社を休職したが、本を読む気が起こらなかった。

そうこうしているうちに、職場復帰したが、郵政民営化による郵便局組織の大混乱、それに何といっても最愛の母の死があって、こころは折れたどころか複雑骨折を起こしてしまった。その頃は「約束の冬」を買ったことさえ、忘れていた。しかし、不安定な精神状態の中でも、習慣というのか、文字に触れたいという気持ちが膨らんできて、村上春樹海辺のカフカ」、村上龍「半島を出よ」、東野圭吾白夜行」、田口ランディ「コンセント」などを読んだ。

そして、今年12月も半ばに入って大阪のまちも冷え込んできた。特に朝夕は底冷えの寒さだ。その底冷えの寒さが8年前に「約束の冬」を買って、まだ1ページも読んでいないことを、思い出させてくれた。

宮本輝は好きな作家だ。ぼくは、短編の作家だと思うが長編にも名作はある。

年内読破を目標に、今夜から宮本輝の世界に浸りたい。