今秋「杉原千畝スギハラチウネ」と同時期に「海難1890」を試写会で観た。
どちらも秀作なのだが、きょうは「海難1890」の記事を書く。
日本・トルコの合作映画で、両政府が関与しているので、両国の国益への配慮が垣間見られて、非常に政治的に製作されたことは容易に推測できるが、映画そのものは、実話であろうがなかろうが、優れている。その点は、おおいに評価したい。
ぼくも、不覚にも涙が出て止まらなくなった。
1890年、エルトゥールル号が和歌山県串本町沖合いで座礁し、500人以上の死者をだしたが、まずしい村人たちの、懸命の救出活動で、50数名の命は救われた。
村人たちの食料が底をついても、生き残った乗組員たちに食料を提供した。
無償の善が描かれている。
1985年、イランイラク戦争で戦火のテヘランに取り残されたおおくの日本人がいる。当時、半官半民の日本航空の労組の反対で、現地には飛行機を飛ばせない、自衛隊も憲法9条の弊害があり、日本政府はテヘランに取り残された邦人を見殺す決断に至った。トルコにも、まだ脱出できていない自国民がテヘランにいる。数時間後にはサダム・フセインの無差別攻撃が開始される。当時のトルコのオザル首相は、苦渋の末、日本人を脱出させるために、航空機を出す決断を下す。自国民には、陸路で脱出するよう指示をする・・・・・。オザル首相の下には「最善の選択だった」とトルコ国民からの無数の声が届けられる。
まあ、うがった見方も出来ないわけではないが、ここはひとつピュアなこころで鑑賞したいところ。
この冬、超おすすめの映画です。