海をみつめて
冬の日本海が
演歌っぽく荒れている
灰色の空の下
実らぬ恋を
叶わぬ夢を
かなしみの欠片(かけら)を
旅人たちが
ここに
捨ててゆくから
海は いっそう
悲痛な 叫び声を
あげて 荒れている
今月半ばの産経新聞朝の詩に掲載された。
掲載日、その一日は、うれしい気持ちというか
ささやかな幸福感が心の状態を、なんとか安定させてくれる。
まず、サンリオ「詩とメルヘン」の仲間たちが集まるサイトに書き込んで
下さって、詩作の猛者たちが、保護者目線でコメントくれて
背中を押してくれるし、検索すれば必ず複数件みつかる見知らぬ読者さんの感想。
たいていが、しっかりと、こころに届いていることを確認できて安堵する。
外に出れば、近所のおっちゃん、おばちゃん、郵便局長さん、酒屋を営む連合会長さんまでが「新聞観たで」「また、載っとったなあ」などといって祝福してくれる。
「そんな大袈裟な」とは思うけれど、照れ笑いでごまかしている。
140文字という制約された文字数では、ちょっとした心情的な吐露やメッセージ、日常的な風景を切り取ることはむずかしくいないが、「ドラマ」を作り上げるのは
容易くはない。だが、朝の詩にかぎっていえば、敢えて「ドラマ性」を意識して
書いていきたいとは思っている。この詩の最後は「荒れ狂う」で締めたかったが新聞なので「狂う」はNGだ。