ふとした瞬間、どうしても「あの歌」が聴きたいと思うことがある。
突発的にである。
まず、アマゾンや楽天などでCDを探してみるが、見つからない。
古いLPなので、編集されて、タイトルも変えられてBEST版的
なCDに生まれ変わってる可能性もある。調べていくと「オールタイムベスト」
というCDが出ていて「こんなに遠くまで来てしまった」
に収録されていた『ローリング・ストーンズは来なかった』は収録さ
れているけれど『一瞬の夏』は、他のどのCDにも存在しない。
聴けないとわかれば、なお聴きたくなってくる。
西島三重子・・・・・といえば、「ああ、『池上線』の」と、
たいていの場合、
そのような返事が返ってくる。たしかに、彼女の代表曲のひとつ
でもあるし彼女を世に送り出した楽曲でもあるだろう。
J-POP界も、まだまだ混沌としていた時代で、演歌歌手と間違われたこともある。
世間的には、それほど彼女の曲は、ぼくが思うよりも認知度が低かったかもしれない。
西島三重子=「池上線」という固定観念は、簡単には融解しない時代だった。
しかし、アルバムの中にこそ、真の名曲があることを、
ファンは知っている。
今、どうしても西島三重子の世界に浸りたい。幸いにもLPは持っていたので、
意を決して押し入れの奥から引っ張り出した。3時間かかった。
レコードプレーヤーにアンプを繋げた。超アナログの世界。
「こんなに遠くまで来てしまった」は西島三重子がワーナー
パイオニアからテイチクというレコード会社に移籍して第一弾の
「青春の痛み」が詰まった珠玉のアルバム。なかでも前述した
「ローリング・ストーンズは来なかった」と「一瞬の夏」
は若さと生きることの本質に迫った作品で、胸に突き刺さるものがある。
LPレコードのキズはひどかったけれど
ぼくの生き方に影響を与えてくれた、1984年制作の忘れられない一枚である。
因みに、当時のぼくの胸を突き抜けた各曲のフレーズをご紹介しておく。
『絶対にあいつら来るわけないさ すねたようにジンを飲んでたっけ
ちぎった前売り券 川に捨てたわね
Rolling Stonesは来なかった』
「ローリング・ストーンズは来なかった」
『恋人よ眩しくきらめいて 一瞬にすぎてゆく夏
死ぬつもりで目を閉じれば もう生きることが始まっている』「一瞬の夏」
(両作共に作詞・門谷憲二 / 作曲・西島三重子)