厳しい寒さも手伝って、何をするのも億劫だった。
そうでなくとも、鬱病を患っているのに。
しかしながら、鬱病は長年のともだちだ。鬱状態をコントロールできれば、創作にいい
影響を与えてくれる。ペンも進むし、よりクオリティーの高い作品が次々と産み出せる。気分障害にさいなまれながらも、短期間で10篇の詩を書き上げた。
それで、きのうは休筆日にあてていたが、ふと、気まぐれで短歌を詠んでみたくなった。10年以上前になるが、産経新聞や東京新聞などの歌壇にもよく載せてもらっていた。そのときの快感を思い出した。
5首の短歌を即興で詠んだ。
なぜか、妹がよく出てくるが、ぼくに妹などいないし、いたらいいなあという憧れもない。物書きは総じてうそつきだ。
春風と 消えた妹 今何処
母と語りし ひな祭りの日
野良犬が 目で物をいう 裏路地で
おまえは孤独 われと同じと
父母と 行方知れずの いもうとと
われも家出て 家族解散
仕事場で 他人のふりを 演じても
手不意に触れて こいごころ燃ゆ
妹の 乾いた絵の具 パレットに
なみだで溶かし 描く在りし日
小説と詩は違う。詩と短歌も違う。長い文章だから難しく、短い言葉だから誰でも書けそうだというのは、大いなる素人考えに他ならない。