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もう3月だ。1日1日が、飛ぶように過ぎていく。そう考えると、人生って、思っているよりも、短くも感じるし、その分、愛おしくも想う。

去る2月14日。まあ、いわゆるバレンタインデー。その日を意識するほど、若くはない。妻と娘からチョコはもらう。しかし、このチョコ、一種の毒饅頭で、一度ありがたくいただくと、ホワイトデーには10倍返しという危険な罠が仕掛けられている。

まあ、そういうことができるのも、現役で働いていられる間だけだ。

そのことしのバレンタインデーの朝早く、ぼく宛に真っ赤なバラの花束が届いた。

メッセージカードにはst.バレンタイン文学大賞に選ばれたと記されてあり、差出人として西日本の女学院の名があったが、まったく心当たりがなかった。

1時間後に別便で届いた速達を読んで、事の詳細がはじめてわかった。

西日本に存在する、ある女学院の高等科の生徒さんのアイデアで、st.バレンタイン文学大賞委員会なるものを有志で昨年の秋口から設置し、学校の生徒さんに「バレンタインデー」に一番ふさわしいと思われる小説、詩集、エッセイ集、名言などを今年に入って推薦してもらい、2月の半ばから委員会の生徒さんが毎日検討を重ねに重ねた結果、500点以上の文学作品の中から、ぼくの詩集とその作品が第1回st.バレンタイン文学大賞に選出されたとのことだった。

だれかの、いたずらの可能性もあると思い、その女学院に問い合せた。

すると、顧問の先生が出られて、間違いありませんよ。本学院としても承認しており、

連絡先が分からず、出版社に電話しても、教えてもらえず苦慮していたが、生徒の母親がサンリオ「詩とメルヘン」の読者で、そこに書かれてあった住所を使わせていただいたので、ご了承願いたいとのことだった。そうか、むかしは、プライバシーもだだ漏れの状態で、掲載されるたびに、住所は書かれていたことを思い出した。

「しかし、それは奇跡的なことですね。ありがたくお受けいたします」と言いたかったが、涙が溢れ出して、途中からは言葉にならなかった。

顧問の女性の先生も「逆にご迷惑ではなかったですか。生徒たちは本当に真剣でした。熱かったです。ご受賞は本学院の総意です。」と涙声で、応えてくださった。

過去の栄光に過ぎないが、ぼくは、ここ20年くらいで大きな詩の賞をいくつも獲得した。

飛ぶ鳥を落とす勢いの如くだった。しかし、最近は新聞の投稿さえ、疎遠になっていた。ほんと、運が良かっただけかもしれない。

でも、これまでもらったどんな賞よりも、プロが選んだどんな作品よりも、今回の生徒の皆さんが放課後遅くまで残って選んでくれた、名も無きこの賞のことを誇りに思う。

 

            一篇の詩

 

      あなたと

      風のように

      駈け抜けた

      青春の日々が

 

      いつか

      一篇の詩に

      なりますように

 

      あなたの

      そばにいるだけで

      生まれてきたことさえ

      幸せに思えた日々を

 

      きっと

      だれかが

      口ずさんで

      くれますように

 

 

                  第4詩集「にぎやかな食卓」収録。