11月17日、シルバー文鳥のメロディが天国に行っちゃった。
変わった、しかし、とてもいい音色で鳴くので、メロディと名付けた。
早朝、いつものようにフードの補充と水の入れ替えをしようと、掛け毛布を取るとメロディはかごの中で、冷たく横たわっていた。
メロディは2009年の春に、我が家にやって来た。
しかし、当初から臆病で、なつかない鳥だった。
部屋に放鳥するとき、どんな小鳥でも、一度はパニックを起こしても、馴れてきて自由に飛んだり跳ねたりするものだ。ストレスの発散にも欠かせない。
しかし、メロディは一度パニックになってから、かごから出るのを嫌った。
ぼくは、何度も扉を開けて、指に乗せて、外に出そうと試みたが、かごから離れそうになると、ヒョイッと指を離れて、かごの止まり木に戻った。
あるとき、かごの扉を開けっぱなしにして、となりの部屋でパソコンで詩作していた。
時々、後ろを振り返って、メロディの様子を見たが、彼はかごの中で、フードを食べている。それから、何時間くらい経ったかな・・・。キーボードを打つぼくの右肩にある重さを感じた。えっと思って、確認するとメロディが、肩に怯えながらもたどり着いてくれたのである。後にも先にも、それきりだったが、今でも、わずか数グラムのいのちの重さを、ぼくの右の肩は憶えている。
10年と半年、凄まじい生命力でメロディは生きてくれた。
次の日から1週間、ぼくは悲しみのため、会社を休んだ。
小鳥の影
主(あるじ)を失った
からっぽの鳥かごを
処分することが
忍びなく
今も
ベランダの隅に
紐でくくりつけた
古新聞や週刊誌の上に
無造作に
載っけてある
しばらく眺めていると
空恐ろしいほどの
さみしさが
こみ上げてきて
どこからか
ピッピッと
小鳥の声が
よみがえってくるようだが
鳥かごを
どんなに
目を凝らしても
小鳥の影だけ
そこに
見当たらない