師走に入っても、暖冬傾向で飼っている亀は冬眠が出来ない。
朝夕と日中の寒暖差も大きく、体調が優れない方も、少なからずいらっしゃると思う。
長らく、ブログに手をつけられなかった。
忙しさは、理由にならない。
ところで、ここ数日、空を見上げると、月の静かな光が、とても神秘的だった。
ひとつ、ふたつと、物語を綴れそうな、そんな気がして。
寂 光
ともだちのお母さんから
もう長くはないのですよと
聞かされていたから
いくら 月の輝く夜でも
病院へと向かう
ぼくの足取りは重かった
部屋を訪ねたとき
眠っていたともだちが
何かの物音で目を醒まし
「やぁ 来てたのか」と
さみしそうに笑って
てのひらを合わせ
同じ経文を
三度くりかえした
ともだちは上体を起こし
生きてることを
たしかめるみたいに
ゆっくりと 時間をかけて
みかんの皮を剥きはじめ
窓から射す月の光は
今たしかに在る
ともだちの
この世のかたちに
ひそやかに
降りそそいでいた