むかし、むかし、そのむかし、NHK紅白歌合戦はそれはそれは、壮大な祭りだった。
ぼくが、高校生くらいの頃までは。紅白が始まる前に、おせちを作り、お風呂に入り、食事も済ませて、正座をして待つというくらいの神聖さは、たしかにあった。
しかし、いつの頃からか、祭りが祭りでなくなった。形はあるがごく普通のことになった。
小さい小さい満足を大勢に与えながら、神がかり的な、非日常の祭りを誰かがなくした。
そうはいっても、されど紅白なのも事実なのである。
昨日、第65回NHK紅白歌合戦の出場歌手の発表があった。
ぼくが、びっくりしたのが中島みゆきの、まさかの出場である。
これは、高視聴率番組NHK連続テレビ小説「マッサン」の主題歌「麦の唄」を中島みゆきが歌ってるというのが理由だろう。
中島みゆきといえば、12年前、黒部ダムから中継で「地上の星」を歌ったが、2番の歌詞を間違えてしまった。
「黒部の時には『一生の思い出だわ』と感激のあまり、歌詞を間違えてしまいました。このたびは、まさかの2度目出場。『来世までの思い出だわ』と感激のあまり、また何かしでかさないように、頑張って歌わせていただきます」とお茶目なコメントを自虐たっぷりに寄せている。
大晦日のひとときは、新たなる伝説を期待しながらも、保護者目線で、みゆき姐さんを応援したい。
(中島みゆきへのオファーは出場歌手発表の前日の25日の夜。OKの返事は発表の6時間前でした。「夜会」を公演中の中島みゆきへの、NHKの最大限の配慮が通じた形です。)