いっぴきの蝉が蛇行しながら、恐ろしく低空飛行している。
というより、地面すれすれに、かろうじて風の浮力で漂っているようだ。
しかし、ぼくの脚にぶち当たり、アスファルトに落ちて、背中で飛び跳ねている。
ああ、この蝉は、もう終わりだなあ。
今更ながら、いのちの儚さを想う。
暦の上では、もう、秋なのに、残暑は厳しい。
夏の庭
過ぎし日
坊やが 泣いて
笑って 転んで
水遊びをした
夏の庭
片隅の
少し錆び付いた
物言わぬ
三輪車に
木洩れ日が
キラキラと
降り注いでいる