佐々木宏はホッとしたかもしれない。東京オリンピック2020 演出チームを辞任して。
「言葉狩り」「言葉の切り取り」が横行して、久しい。
うっかり不快なことを口にしてしまった者を、あるいは、ちょっとしたミス発言をしてしまった者を、権力の座や表舞台から引きずり下ろすことを、さも正義といわんばかりにまかり通っている昨今に「ヤな世の中」という感情が、ぼくの心の隅にある。
重箱の隅を箸でつつくというか、姑息である。
こういう輩たちの手に掛かると、何でもかんでも「女性差別」「性差別発言」として
吊し上げられてしまう。
もちろん、ほんとうに悪意のある差別なら、ぼくも、拳を振り上げて闘う!
しかし・・・・と思う。
少し前、オリンピックの演出チームの責任者:電通出身の佐々木宏が「女性タレントを豚に例えた」とTVで騒いでいた。(文春の記事の狙いは組織のゴタゴタだったが)。
しかも、一年前のアイデア内の話が何故、今出てきたのか。
佐々木宏がヘッドになったために、かなりの人事が動いたので、その中の干された誰かの情報だろうことは、容易に予想できる。
クオリティの高さは、ピカイチである。センスもいい。
タレントも当日には誰も責めないようなコメントを発表していたが
翌日のYouTubeでは、かなり、性差別非難に変わっていて、びっくりした。
敢えて、佐々木氏を擁護するが、これはあくまでもアイデアの中での発言。しかも、チームにLINEでアイデアの善し悪しを量っている。
pigをOlympicに掛けて、ブタさんの役を渡辺直美が演じたら・・・というアイデアが降って湧いた。
しかし、そこで「それは、駄目です」という意見が多数出て、あっさり没にしている。
(LINEであるにせよ、広告の神様に、反対意見が出来たことは、望ましい世の中だと思う)。
とにかく、思いつきのアイデアを吐き出していく。そこに差別などの入り込む余地はない。悪意のあるルッキズム(容姿でひとを評価する)なんか存在しない。
リオオリンピックの閉会式。次の開催国は日本。これも、佐々木宏の演出だ。
あの好評を得た「安倍マリオ」も最初はいたずら心で総理大臣にちょび髭をつけてヒットラーみたいにいじってみる。すると、髭かあと言うことになって、総理がマリオになって登場すれば、相当のインパクトがある演出に繋がると確信する。
そして彼は成功した。
だいたい、名演出などというものは、そういう、なんでもない他愛のないつぶやき的なところから始まる。
日本国の総理のヒットラーみたいなちょび髭は良くて、女性のブタは駄目なんだ。
この佐々木宏は、SoftBankのお父さん犬のCMも世に送っている。犬の声は俳優の北大路欣也だ。ロングランのCMだ。
人間が犬になることは良くても、女性のブタは駄目なんだ。
ぼくも、広告代理店勤務の経験から、アイデア段階というのは、善し悪しにかかわらず、自分のアイデアを全部吐き出す場であることは承知している。
全部吐き出して、要らない部分を排除していく。
削ぎ落として、削ぎ落として、いいものが出来上がる。
この渡辺直美というタレントさんのあるCMを見ると「パンダ」を使っていた。
パンダは良くて、女性のブタは駄目なんだ。
このままでは、お笑いは「哲学」をしゃべって、笑いを取らなければならなくなる時代は近いと、ぼくは思った。
TVのMCやパネリストの多くは世論になびく。
ブタさんだったから、差別なのか。男性のモンキーだったら差別ではなかったのか。なんか、イメージだけで語っていないか?
ブタさん=女性タレントの体型。これが駄目といったひとは、逆に=を認めているわけだ。
渡辺直美は本当の意味でのプロではないのかもしれない。彼女が本物なら、自分だったら世界一可愛い素敵なピンクのブタさんを演じることができたくらいの声明をだすべきではなかったか。
タレントも人気商売だから、世論になびく。
ブタさんって、可愛いと思うけどなあ。すっごく、頭のいい動物で。清潔好きで。
でも、ぼくたち、人間は罪深い。例えばブタさんの命をいただいている。
恩恵を受けている。
たまには、ブタさんに敬意を払わないか?
今回のゴタゴタ騒動は女性差別にすり替えた、ブタさんへの差別に他ならないではないか!