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    はつなつ

 

朝の台所に

母を感じる

 

うたたねする

耳元に

母の声がささやく

 

洋風に模様替えした

母のかつての寝室に

母が香る

 

 風に膨らむ

レースのカーテンから

リビングに

こぼれ落ちる 

生まれたばかりの

なつのひかり

 

母が不在の

はじめてのなつ

 

 

 

母が逝去して、丸11年が経過する。

不整脈をかかえていたが、入院のきっかけも、最期も肺の疾患だった。

病室で母のベッドを囲み、家族や親族で掌を合わせた。綺麗な顔だった。

業者さんが来るまで、しばらく時間があった。

皆には、家に帰って準備をしてもらっていた。

ぼくだけが残り、母にいろいろ話しかけた。

窓をみると、真っ黒なひとかたまりの雲が、すぐそこにあった。

ああ、雨が降るなあと思ったと同時に、激しい雷鳴が轟いて、滝のような雨が

窓をたたいた。

今でも、深い悔恨の想いで、ああ、あの時、旅行に誘っていなければ、もう少し長生きできたのではなかったかと、うつむくことがある。

母は、旅行先のホテルで、これ以上歩けないと言って、簡易の車椅子に乗って移動することになった。

旅行から帰って、翌日、入院して2週間後に、母は逝った。

ぼくに、介護もさせずに、逝ってしまった。

翌年、東日本大震災が起こり、そして、新型コロナ・・・・・。

怖い目に遭わなくて、よかったじゃないかと考えるべきか。

コロナに感染しても、自宅待機(今日現在、大阪で17000人)。入院が出来ない怖さ、不安・・・・・・。

入院しても、家族に会えない孤独感。

昨今のオリンピックありきの政府の思惑と、何とか感染者を押さえ込みたい自治体の施策のチグハグぶり、しかも、おなじ緊急事態下バラバラなバラバラな要請内容をみると

かあちゃん、こんな酷い時代に生きなくてよかったな」とふと思ってしまうのである。

きょうは、すこし感傷的になりすぎたみたいだ。