年末寒波の第一陣が列島に襲来した12月26日、大阪フェスティバルホールで南こうせつのコンサートが開催された。また、オミクロン株の急速な感染拡大が報道されていたので、開催されるのか心配だったけれど、大阪は経済も回しながら、というwithコロナに舵を切っていたから、しっかりとした感染対策を取って開催された。
大阪フェスティバルホールは、やはり広い、大きい。1階は満席だが、2階、3階はかなりの空席。これも、65%の入場制限のせい。
いつもなら、開演のかなり前から、こうせつコールがはじまるが、手拍子だけでは物足りない。開演のベルが鳴って、こうせつの登場すると、パアーッと空気が明るくなる。
こうせつの周りには、いつも歌があり、ひとが集まってる。
歌は盛り上がるし、MCは笑わせる。優しい雰囲気が漂っている。こころが温まる。
「ぼくが、この歳まで、ステージに上がり続けていられるのは、この歌のおかげ」と言って「神田川」を、しっとりと歌う。
そして、この歌を作詞した喜多条忠(きたじょう・まこと)の突然の他界に触れ、彼との出会いを語り始めた。
喜多条はラジオ作家で、おおくの番組の台本を書いていた。デビューしたてのこうせつは彼の仕事ぶりを見て「書くの早いですね」と言って「ぼくにも何か一曲書いてくださいよ」と依頼したらしい。しかし喜多条は「ぼくは、自由詩は書いたことがあるが、作詞はしたことがないんだ」と断ったらしい。しかし、こうせつは諦めなかった。とにかく、ファーストアルバムを出すので一曲だけお願いしますと頭を下げ続けた。そして、送られてきた原稿が『マキシーのために』。かぐや姫ファンならだれもが知ってる人気曲だ。
喜多条の才能を見抜いていたこうせつはサードアルバム「かぐや姫さあど」の中の1曲として、作詞を依頼した。喜多条「で、〆切りはいつ?」こうせつ「きょう」。
それでも、喜多条はこうせつの熱意に負けて、作詞して、電話で内容を伝えた。こうせつから30分後に電話が帰ってきた。電話の向こうでこうせつがギターでさっき、自分が書いた詞を弾き語っている。自分の作詞ながら、涙が出るほど、せつないメロディがついた。アルバム収録曲ながら、こうせつのラジオ番組でこの歌のリクエストが相次いぎ、ついにシングルカットされて、世に知られるところとなった。
それが『神田川』。
その後も、このコンビで『赤ちょうちん』『妹』など、大ヒットを連発する。
セットリスト
1.緑の旅人
2.風に吹かれて
3.雪が降る日に
4.恋はるか
5.神田川
6.野原の上の雨になるまで
7.うちのお父さん
8.好きだった人
9.プライベートソングⅡ
10.夢一夜
11.歌うたいのブルース
12.マキシーのために
13.夜明けの風
アンコール
14.妹
15.元気でね
『夢一夜』は、資生堂のCMソングにも使われた。「素肌美人」のキャッチコピー。
モデルは小林麻美。
こうせつは、大きく腕を組んで、いちいち頷きながら、阿木燿子が作詞した文脈を説いていく。まあ、道ならぬ恋の歌に他ならないが、こうせつは「ああ、人間とは困ったもんだ」と深くため息をついて、観客を笑わせた。
『雪が降る日に』これも資生堂のCMソング。
ぼくが、中学の時、クラスコンサートでグループを組んで歌った。
勉強できる、スポーツできるクラスの人気者グループの『落陽』に完敗したけどね。
2022年。淀みがまだ続いている。新型コロナいい加減にしろよ!
いくら、オミクロン株が驚異的な感染力を示しても、人間は、また、立ち上がる!
こうせつの歌った『夜明けの風』が吹くことを信じて。