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(写真は「ゲンセンカン主人」より)

つげ義春の漫画は、ぼくを旅へと誘う。

お気に入りの「海辺の叙景」「やなぎ屋主人」などを読むと、尚、そういう思いに駆られる。

つげ義春の功績は、漫画に文学性を取り入れたことだと思う。

「沼」「チーコ」「紅い花」など初期の作品に多く見られる。

つげ義春は精神疾患があって、なんども、救急車で病院に運ばれている。

必殺するめ固め」に収録された作品は、どれも、神経症的な絵だ。しかし、魅力はある。

「夜が掴む」なんかは、圧巻だ。

つげ義春の作品は、竹中直人などによって、何作か映像化されたが、どれもみな失敗に終わっている。原作には、到底及ばないということである。

つげ義春が、ペンを置いて、いったい、何年過ぎただろう。

妻の藤原マキに先立たれて、想像もつかない孤独の日々を送ったことだろう。

現在は、山に興味を抱き、印税で暮らしているという。

つげ義春の新作を見ることは、もう、永遠にやって来ないのである。