お知らせ
お知らせ
2023年1月より病気療養しておりましたが、同年12月15日に脳腫瘍により逝去しましたことをご報告いたします。
長い間TigerAceの不安倶楽部をご愛読いただき本当にありがとうございました。
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すずめ
早朝の散歩
すずめが
数羽あつまって
語らっている
やわらかな日差しを
浴びて
ぼくが
近づくと
すずめは蜘蛛の子を
散らすように
飛んでいってしまった
ぼくは
ただ
話しかけたかった
だけなのに
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久しぶりです。新作が出来ました。
+ 冬の旅人
おんぼろの愛車で クネクネ道を
とろとろ北上した
越前海岸の パーキングエリアで
たばこを一服吸った
昼間だというのに
空は真っ黒だった
冬の日本海は
暗く 重い
鈍色の日本海が
演歌っぽく 荒れている
冬の旅人たちが それぞれに
つらく 切ない想い出を
この海に 捨ててゆくから・・・
かくいうぼくも 亡き恋人との
青春の日々の想い出を
捨てに来た たからものそのものの記憶
人生を一歩踏み出すために この海に
日本海は よりいっそう救いようのない
悲しみの表情を浮かべた
今にも落っこちてきそうな
重たい雲が どこまでも連なっていた
恐ろしく幻想的で
ささくれた風景に
心の芯まで 震えてしまう
肩を落として
二本目のたばこを吸う
地鳴りがして
風が 泣いている
荒波は 亡き恋人のひと形をして
こっちへおいでよと 手招きをする
この季節の 越前海岸は
ひとりぼっちの
冬の旅人が 似合いすぎる
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NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の1年間にわたる放映が終わった。
三谷幸喜の脚本は好まないが、本作については、魅力のあるドラマに仕上がっている。
全48話、一話一話に見応えがあって、次の回が待ちきれないほどだった。
個性豊かな登場人物が多い中、やはり、主人公の北条義時(小栗旬)にフォーカスしたい。
物語の中心人物であるが、実のところ、文献にも、くわしくは残されていない。
北条 義時(ほうじょう よしとき、長寛元年(1163年) - 元仁元年(1224年))は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての武士。北条氏の一門。鎌倉幕府の第2代執権。伊豆国の在地豪族・北条時政の次男。北条政子の弟。
平家隆盛の世、北条義時は伊豆の弱小豪族の次男坊に過ぎなかった。だが流罪人・源頼朝と姉・政子の結婚をきっかけに、運命の歯車は回り始める。
1219年に、源氏将軍が断絶すると得宗の義時が鎌倉幕府の実質的な指導者となり、第2代執権となる。
政敵には罠を仕掛け、ドンドンと粛正していき、北条家を護った。
幕府と朝廷の対立が激化すると、1221年に後鳥羽上皇より義時追討の宣旨が全国に発布され朝敵となるが、幕府軍は京都に攻め上り朝廷を制圧。後鳥羽上皇らを流罪として、本格的な武家社会の礎を築いた。(承久の乱)。
北条義時の大まかな生涯である。
※
「執権」
基本的に鎌倉幕府は、鎌倉殿と御家人の主従関係で成り立っており、北条氏も御家人のひとつに過ぎなかった。
時政の就任以来、北条氏の権力確立の足場となる。2代執権の北条義時が侍所の別当を兼ねてからは、事実上、幕府の最高の職となった。
江間の小四郎と呼ばれた頃。まだまだピュアで血なまぐさい事件とは無関係の時代。
義時が若かりし頃、北条家に匿っていた、源頼朝に見出され、政(まつりごと
)を学んだ。
落馬で頼朝が死去。2代、3代将軍を巻き込んだ権力闘争に、北条義時は勝利し
第2代執権となる。
義時の表情も険しい。
左から、北条義時、ひとりおいて北条泰時(後の3代執権)、源実朝(3代将軍)。
※
「源氏と平氏」
平安時代、藤原氏のような貴族に代わり、武士が存在感を増してきた。「源氏」も「平氏」も武士のグループで、源(みなもと)の姓を名乗る一族が源氏、平(たいら)の姓を名乗る一族が平氏。
源氏、平氏ともに天皇家にルーツをもつ由緒ある家系で、源氏は東国に、平氏は西国に権力を築き、二大派閥になっていく。
武家の名門である、源氏と平氏。どちらも天皇家にルーツを持っていた。
皇族がその身分を離れ、姓を与えられ臣下に下ることを「臣籍降下」と言う。源氏の「源」と、平氏の「平」は、天皇から賜った姓のひとつ。姓を与えられた皇族のうち、軍事専門職についた人たちを「軍事貴族」といい、平清盛や源頼朝たちも軍事貴族。
このように臣籍降下した皇族は何人もいるので、鎌倉幕府をひらいた源氏だけが源氏ではなく、平清盛の親戚だけが平氏ではない。
ただし、北条の家柄は、特に名もない板東武者、東国の一豪族に過ぎなかった。
後鳥羽上皇。北条義時の首を取りに兵を挙げるが、幕府軍に京まで攻め込まれて流罪。
義時、人生のクライマックス。
前代未聞の承久の乱。
義時最後の時。
ドラマでは、北条政子が、薬を義時に渡さず、落命するというシナリオ。
あまりに多くの人命を奪い、病の床にあっても、北条家の邪魔になるような人物には粛正をもくろんでいたため、政子はあえて薬を渡さなかった。
北条義時、死去。(享年62歳)。
しかし、これはドラマに過ぎず、実際の死因もはっきりしない。
だが、それを言い出したら、一本の物語も成立しなくなる。
歴史はいつの世も、塗り替えられていくものだ。
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11月は、ぼくの誕生月。いつも、妻とレストランで、食事をする。
談笑しながら、今年は、「さだまさし」のコンサートチケットをプレゼントしてくれた。文筆活動の合間に、最近は、アコースティックギターをいじってる。ちょうど、さだまさしの楽曲、特に「秋桜」を完璧に弾く、ということを目標にしていた。
いままでは、イントロも間奏も、我流だったので、オリジナル音源にあわせて練習していたから、妻はさだまさしのコンサートチケットを用意してくれていたのだと思う。
たとえ、「秋桜」をコンサートで歌わなくても、さだまさしのMCは面白くて、勉強になるよ、と妻はいった。
「さだまさしコンサートツアー 2022 ~孤悲~」追加公演。
のっけから、ロックなさだまさし。エレキを弾いている。
賑やかな曲は、序盤の3曲までで、でも、終盤まで、知ってる曲は、ほとんどなかった。
「孤悲」という最新アルバムを中心に、構成されているようだ。
「弧悲」は「恋」のこと。当て字といってもいいかな。
とてつもない孤独感とそこはかとない悲しみ。
知っている曲は「道化師のソネット」「舞姫」それから、グレープ時代の「フレディーもしくは三教街」。
しかし、知らない曲でも、さだまさしの曲は、どこかこころに染みわたる。
まず、日本語がうつくしい。それに、一曲一曲が短編小説の読後感がある。
このひとは、フォークシンガーというより、音楽家の趣がある。
歌、曲からは、そういうところを感じ取れるが、うわさどおりのMCは最高におもしろい。バンドメンバーが思わず、爆笑していたくらいだから。
でも、最後に、本質を語っているから、聴いていられるんだよなあ。
この日の2時間30分は、妻からの贈り物。
そして、その2時間30分を、これから、どのように文筆活動や、ショボい音楽活動に活かせるか。
セットリスト
偶成
抱擁
破
(MC)
パンプキン・パイとシナモン・ティー
療養所(サナトリウム)
(MC) メンバー紹介
キーウから遠く離れて
フレディもしくは三教街-ロシア租界にて-
(MC)
詩人
(MC)
鷽替え
孤悲
[アンコール]
(MC)
歌を歌おう
2022年11月17日 大阪フェスティバルホール
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映画「燃えよ剣」の公開から、およそ一年遅れで、鑑賞することができた。
岡田准一の土方歳三は、素晴らしい演技で、これまでにない土方歳三像を作り上げた。
ぼくも、やはり司馬遼太郎の小説で、土方ファンになったひとりである。
豆知識として、この映画には、お馴染みのだんだら模様の隊士の制服は、ごく少数出てくるだけ。実際は写真のように黒一色で統一されていて、下級隊士のだんだら模様も、池田屋事件までの、1年ほど使われていただけのようだ。特に幹部は原則的に最初から黒装束。
武蔵国多摩郡で「バラガキ」(乱暴者、不良少年)と呼ばれた少壮の時代から、京へ出ての新選組結成と維新志士達との戦い、そして江戸幕府瓦解後も官軍に降伏せず戊辰戦争を転戦し、ついに箱館戦争において戦死するまでを扱う。司馬は、新選組時代は京洛で過激志士達を追い回し、戊辰戦争では幕軍残党の将官として戦いに明け暮れる日々を送った土方を、「芸術家が芸術そのものが目標であるように、喧嘩そのものが目標で喧嘩をしている」と評し、これといった政治思想も持たずにさながら芸術的興奮を求めるように戦い続けたその生き様を「喧嘩師」と形容されている。
武士に対する「憧れ」の強さが、生き様に溢れている。
演技指導する原田眞人監督。殺陣などのアクション監督を岡田准一が兼任している。実際、岡田准一の殺陣は凄すぎる。リアルすぎる。
映画のスチール写真。
近藤・土方(左上) 沖田・芹沢(右上)
新選組は多数の志士を殺害したことから、維新体制下では「逆賊」と見なされてまともに顧みられず、単なる人斬り集団として貶められることも多かった。しかし子母澤寛の『新選組始末記』(1928年)により再評価の機運が生まれ、『新撰組悲歌』(1934年)などの映画公開、そしてやや時を置いて発表された本作『燃えよ剣』と、同じく司馬の連作短編『新選組血風録』の登場によって、今日に至るまでの人気が決定づけられたといえる。以降の新選組にまつわる創作作品の多くは、本作と『新選組血風録』で作られたイメージの影響を色濃く受けている。
この写真が撮られたときには、近藤勇と沖田総司は、この世にない。
近藤勇は流山で官軍に降伏し、斬首される。
洋装姿の凜々しい土方歳三。
幕府軍は、さらに北へ向かう。北海道の五稜郭に共和国の旗印を掲げるも、官軍に取り囲まれる。土方は総督、陸軍奉行並の肩書きがあったが、新選組副長・土方歳三として戦死する。
奇しくも、ぼくが好きな歴史上の人物は、今回の土方歳三と関ヶ原の石田三成である。
そのふたりを岡田准一が、原田眞人監督のメガホンで演じている。
しかも、このふたりには共通点も多い。
土方歳三は「形」にこだわり、石田三成は「義」にこだわっている。
時代小説であっても、歴史から、学ぶものは多い。