(俳人・尾崎放哉・おざきほうさい)
「咳をしても一人」
あまりにも有名な放哉の俳句である。
このひとはこの俳句を残すために、この世に生まれてきたのではないかと信じてしまえるほど、この句は凄い。
この短いセンテンスから、リアリティのある部屋の空間、空気の透明感、救いようのない静寂感がとり肌が立つほどに伝わってくる。
ぼくは、高校のとき、この句を授業で知って、椅子から落っこちそうになったほどだ。
放哉は五・七・五の定形型の俳句ではなく、自由律と呼ばれる文字数などの捉われない俳句を好んで書いた。種田山頭火などもおなじである。
この句もまた、ぼくの創作の原点のひとつである。