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「おろち」
昔から、楳図かずおの漫画が好きだった。
姉の買ってきた少女フレンドなどを、こっそりと読んでいた。
「ママがこわい」「赤んぼ少女」「ミイラ先生」などはこの時代だ。
そのまた上の姉は「平凡」を買っていたから、それも、ぼくは読んでいた。
すこし、成年向きに画風も変えていたように思う。
「イアラ」「恐怖」「怪」などにそれぞれ収録されている短編作品がこの時代だ。
ざっくりとだが・・・・・。
ぼくが小学校のとき、少年キングに「猫目小僧」、少年サンデーに「おろち」が連載を開始した。ぼくは、この「おろち」という少女に、淡い恋心を抱いていた。
この「おろち」という少女は、何百年も生き続け、あるときはお手伝いさんとして、あるときは看護師として、あるときは女学生として人生を見つめ続ける。
後年には「わたしは真悟」「神の左手悪魔の右手」など秀作を発表している。
楳図かずおは、今はペンを折っている。
ここ何年も、漫画を発表していない。
若手編集者に「手というのは、こうやって描くのですよ!こうやって!」と恫喝され、怒りのあまり描かなくなったという説もあるが、ぼくが思うには、持病の腱鞘炎の悪化ではないかと思う。